毎日私が図書館に通う理由。 勉強スペースでしっかり辞書を広げている、大学生を見るためだと言っていい。 今日も。 だけど何故か、目が合った。 ただ、離すことができなくて。 離せないでいると、眼鏡越しの目が柔らかくなった気がした。 そして、手招き。 「…………ここ、来ませんか?」 意外にも低いその声に、胸が高鳴ったのは言うまでもない。 近くなった距離に、踏み出した足が震えた。 Fin