「あ」 それは向こうが言った言葉だった。マスクとサングラスをした、なんだか怪しげな雰囲気。でも聞き覚えのある声だった。 大型CDショップのインディーズ、デモ曲までも置いてあるところで選んであるときだった。 「雛ちゃんだよね」 マスクとサングラスを外されて声を上げそうになった。いつもありがと、と目を細められた。 ………私の大好きなバンドのギター……伸さん 手に持ってるCDを見て、ふっと笑った。 「次、俺の前で見てね」 営業上手な伸さん。 最後に頭撫でるなんて、反則。 Fin