夕飯時に、私と薫が言い合いをしていると、光は早々にご飯を食べ終えて席を立つ。


その時光が私をじっと見つめた。


え、何?


「光はもう食べ終わったの。」


光は何も言わずに食器を片付けていた。


その時、父さんがご飯中に喧嘩は駄目だからねと言う。


別に喧嘩をしていた訳ではないのだが、光はそう感じたに違いない。


分かっているのに、まだまだ私は駄目だ。


だからと言って光は私を責めたりはしないが、無言で見つめられると、やはり答える。


まだ、まだ、修業が足りないと思う。


光は虐めにあったときも相手を責めたりはしなかった。


自分の胸を押さえて、ここが痛いと訴えたのだ。


長男が光の事を我が家の天使と言ったことは、間違いないのかも知れない。


天使にしては体もでかいし、真っ黒に日焼けをしているが。


光は優しい子で暴力を振るうことはないが、一度だけ玄関のガラス戸を蹴り、足を切ったことがあった。


薫を迎えに行き、かなり帰りが遅くなり、その事にイライラしていたようだ。


お腹が空いていたと言う事だったらしい。


蹴るつもりはなかったと。


足が痛くて泣き出した光に、薫と二人で笑った。


痛いのに笑ってると又光が怒る。


そらからは光が物にあたる事はない。