「ん……」


重たい目をゆっくりと開くと、そこには真っ白な天井と昨日の大雨が信じられないほどの太陽の光が目に入った。


眩しすぎて、思わず目を細めてしまう。


…ここ、どこだろう?


意識が段々と覚醒していく。

何故か頬に冷たい感触があった。その感触で思い出す。昨日見た夢の事を。


きっとあれがハチに会える最後だった。

ほんとのほんとに、最後。


頬に伝っていた涙を拭おうと、手を上げようとした。左手に、人の暖かさを感じる。


「美弥…」


あたしの手を掴んで離さないのは、ベッドに伏せて寝ている美弥。少し手を動かせば、美弥は目を擦って起き上がった。


起こしちゃったな…


「海っ!」


あたしの姿を見たとたんに、目を見開いて叫んだ。その声に驚いて、思わず体がビクッと跳ねる。


「もー、心配したんだよ!? 3日間も眠ったままだったんだからっ」


「えっ?」


「先生呼んでくるから、待ってて」