「そうだね」


一度部屋に入って、手袋を取ってくる。


「ハチも手袋いる?」

「冷たくないからいらねぇよ」


そうだった。体温がないから寒いとか感じないんだもんね。


「じゃあ、行こっか」


「うん!」


楽しそうだな、ハチ。

きっと雪合戦なんて、したことないんだろうな…


ハチは絶対人間の方が向いてる。死神なんて似合わないもん。大きな鎌も、真っ黒な翼も、ハチには似合わない。

人間だって言われた方がずっとずっといい。


「海早くー」


「あ、うん」


外で嬉しそうに雪を触るハチを見て、愛しいと思った。

雪合戦なんて好きじゃないけど、ハチとだから楽しく感じる。ハチとじゃなかったら、絶対しないけど。


「うりゃっ」


「冷たっ!」


来年も再来年も、その次の年も、こうやって一緒に雪合戦できたらいいな、って思った今日この頃だった。