「美海!美海!」


僕を呼ぶ声が聞こえる……。聞き慣れた声。この声は……。


「恭…弥?」


目を覚ましたら僕は恭弥の部屋のベッドで眠っていた。腕の擦り傷には手当てした跡。


「美海!大丈夫か!?」


頭が痛い。えっと……僕は……。


「……あ。そっか、僕は確か……。」


健太に殴られたんだ。


「ちくしょう!健太の奴!」
恭弥が拳を作る。

「……健太は?」

あれからどうなったんだろう……。記憶が全くない。



「俺が仕返しした。」


その言葉に僕は背筋に寒気を覚えた。


「……殴ったの?」


僕の質問に答えないで視線を逸らす恭弥。図星なんだろうな。でも、信じられない。



「そうでもしないと、美海が危なかっただろ。」


ぶっきらぼうに恭弥は言った。
「どうして……。」

僕は恭弥を見たけど、そこに戦いの跡は全く無かった。きっと、僕の手当てをする時に一緒に洗ったんだろう。



「美海は俺の大切な友達だ。理由はそれだけだ。」



「でも、僕は恭弥も健太も大切な友達……だったのに。」