顔が近いよ。恭弥……。僕は反射的に目を閉じる。すると、耳元から恭弥が囁いた。


「俺たち、付き合ってみないか?」



………へ?



「へ?」


思わず間抜けな声が出てしまった。沈黙がまた僕たちを支配する。


「僕と恭弥が?お付き合い?」



僕は落ち着いて聞いてみた。きっと冗談だよね。
だって、いまの話の流れでなんでこんな事になるのか僕にはわからないから。でも、恭弥は頷いた。


「一度、彼氏彼女の関係を経験してみたら少しは免疫出来るんじゃないかなぁって思ったからさ。……俺じゃダメかな?」


まじまじと僕を見る恭弥。僕は恭弥から視線をそらした。


「でも、恭弥に悪いよ。好きでもない人と付き合うって良いことなの?それに、僕と付き合っても、僕、恭弥に何も出来ないよ?その……」


僕が話の続きを言おうとしたら、恭弥がそれ以上話すなという仕草でお口ミッフィー。



「俺に罪滅ぼしさせてくれ。少しでも美海が笑ってくれるなら俺はどうなってもいいから。」

不覚にもドキドキしちゃった。でも、当時の僕はその感情が好きって気づかなかった。


「……本当にいいの?恭弥がいいなら僕はいいけど…。」


「なら決まり。今日から俺と美海は恋人な。遠距離だけど、美海にはちょうど良いだろ。」


話をスタスタ進める恭弥。あれみたい、結婚を急かすおばちゃん(笑)



とりあえず、僕は恭弥の恋人になりました。お互いそんな感情は無いけど、僕の男の子嫌いを治すいい治療になるのかな?




,゚.:。+゚9月23日,゚.:。+゚
僕と恭弥の日らしい。