「美海!」
崩れた僕を恭弥が支えようとするが、僕は自力で立ち上がった。
「どうして恭弥がここに?」
僕は恭弥を見た。変わらない黒い目。女の子みたい。
「驚いた?美海の驚いた顔が見たかったから黙ってた。」
そう言って笑う恭弥。
僕は恭弥と一緒にベッドに座った。嬉しいのと怖いのが半分半分。
「最近どう?」
「…なにが?」
「学校だよ。美海の事だから俯いてるんじゃねぇの?」
「う、俯いてなんか!僕は僕らしくやってるもん!」
「へぇー。美海らしく…ねぇ。あの時の言葉…まだ覚えていたんだ。」
「違うから!僕は偽って生きていきたくないだけ。」
僕がそう言ったらいきなり恭弥の顔が僕の顔に近づいた。反射的に真っ赤になる僕の頬。
「なぁ……美海。お前…男に触れないんだってな。」
そう言われた時、僕の心臓がズキンと窮屈になった。思い出したあの記憶。
「俺の責任だな……。」
「き、恭弥は何も悪くなんか!」