ある程度自由な金ができると
俺はいろんな女にもてるようになった。
その女に関しても、
利用できるやつはとことん利用した。
金を貢いでくれる女、
敵対する組の情報を流してくれる女…
とにかく関わって損のない女は
ことごとく関係を持つ。
女の扱いで、俺の右に出るやつはいない、
そう言われるまでになった。
女という生き物は意外と簡単だ。
優しい言葉、気の利いた冗談、
プレゼント、おいしい料理、
豪華なホテルのスイートルーム。
そして俺の身体。
ある女は
耳元で名前を甘く囁いただけで
身をよじらせる。
またある女は
下唇を優しく吸うだけで
もっと、とせがむ。
快感の引出しを開けてしまえば、
女たちはいとも簡単に
俺に堕ちてゆく。
だが、事を終えた後には
必ず虚しさが俺に押し寄せてくる。
俺はいつもベッドで煙草を2本吸う。
1本目はその虚無感を味わうため。
次の1本は、
そんな感傷的な気持ちを消し去るために。
ツヨシさんの言葉が蘇る。
『男には2通りあって、
惚れた女しか抱けない男と、
どんな女でも抱ける男と…』
俺は、後者の方ですよ、ツヨシさん…


