俺がリーダーになって
1年が過ぎようとしていた。
夜、バイクの準備をしていると、
今までに経験したことのない気配を感じた。
これを本能というのだろう。
振り返ると
「君が、新明亮二か」
と一人の男が訊いてきた。
「…だったら?」
相手は「これはこれは」と言ってにこやかに笑う。
身なりのいい、
穏やかな表情をした男だったが、
危険な香りがした。
「私は林哲郎という。
実はね、君を見込んでやってほしいことがあるんだよ」
これが俺が圭条会に入るきっかけとなった林さんとの出会いだ。
なぁ博子。
おまえを思い出さない…
なんてかっこつけたけど、そんなの無理だ。
時が経つにつれて
おまえへの想いは強くなる。
なぜか…
それを俺は知っている。
これから俺が歩む道が
おまえとは正反対の世界へ通じるからだ。
おまえとますます遠くなる。
だからおまえにも、
そしておまえのいる世界にも
執着してしまう。
おまえが光の世界で生きるなら
俺は闇の世界で生きる。
おまえが人を幸せにするというのなら
俺は人を不幸にしていく。
そういう運命だったのかもな…
なぁ博子。
もうおまえとは
交わることの許されない世界に俺は行く。
そして、俺はこの手を悪に染めて
おまえへの想いにもがきながら
それでも生きてゆく…
1年が過ぎようとしていた。
夜、バイクの準備をしていると、
今までに経験したことのない気配を感じた。
これを本能というのだろう。
振り返ると
「君が、新明亮二か」
と一人の男が訊いてきた。
「…だったら?」
相手は「これはこれは」と言ってにこやかに笑う。
身なりのいい、
穏やかな表情をした男だったが、
危険な香りがした。
「私は林哲郎という。
実はね、君を見込んでやってほしいことがあるんだよ」
これが俺が圭条会に入るきっかけとなった林さんとの出会いだ。
なぁ博子。
おまえを思い出さない…
なんてかっこつけたけど、そんなの無理だ。
時が経つにつれて
おまえへの想いは強くなる。
なぜか…
それを俺は知っている。
これから俺が歩む道が
おまえとは正反対の世界へ通じるからだ。
おまえとますます遠くなる。
だからおまえにも、
そしておまえのいる世界にも
執着してしまう。
おまえが光の世界で生きるなら
俺は闇の世界で生きる。
おまえが人を幸せにするというのなら
俺は人を不幸にしていく。
そういう運命だったのかもな…
なぁ博子。
もうおまえとは
交わることの許されない世界に俺は行く。
そして、俺はこの手を悪に染めて
おまえへの想いにもがきながら
それでも生きてゆく…


