つむじ風。


「おまえ…」
自分のやってることがわかってんのか、
そう言おうとした。

「あたし、亮二のこと好きだからいいんだよ」

「おまえなぁ!」
思わず振り向いてしまう。

「好きな人となら…
あたし、後悔しない」

服を着ようとしないリサに
俺は自分の上着をかけた。

「何回も言わせんなよ。服を着ろ!」

「亮二はあたしのこと嫌い?」

なんでそういうことになるんだよ。

おかしいだろ。
なんで自分を安売りすんだよ…

「おまえ、まだ14だろ?
もっと自分を大事にしろよ」

「14でも、みんなもうやってるよ」

俺は舌打ちして、低い天井を仰いだ。

「だからガキだっつってんだよ。
みんなが、みんなが…ってなんだよ、それ。
みんながやってるから、じゃあ自分もって。
なめられたもんだな、俺も。
いいか、おまえの意地の張り合いに付き合ってる暇はねぇんだよ」

そこまで言うと
リサは鼻をすすりながら、服を着はじめた。

俺の上着を投げつけると、
何も言わずに出て行く。

カンカンカンと階段を下りていく音がした。