リビングの大きな窓に、 一人の男の姿がぼんやりと浮かぶ。 雨で霞んだ都会の街の光が、俺を挑発する。 好きな女ひとり、ものにできないやつが、この世界に君臨できるものか、と。 俺はネクタイを締める。 きつく、きつく。 なめんなよ。 …俺を誰だと思ってる。 圭条会の新明亮二だ。 必ずおまえらを… この闇の世界を牛耳ってやる。 待っとけよ。 俺の時代が来るのを… 生地の擦れる音がやけに大きく聞こえた。