つむじ風。


「加瀬博子さんからあなたへと、
警察情報が流れていたと我々は考えています」

そうそう。
それが俺を呼び出した本当の理由だろ?
そこから家宅捜索にもっていきたいんだろ?

「くっだらねぇ」

これからだ。

俺も慎重にならねぇと…
迂闊なことは言えない。

「どんな情報だよ、言ってみろよ!」

俺と安住は、お互いを探りながら、
何時間も顔をつき合わせていた。

のらりくらりと交わす俺に、安住は苛立ちを見せる。

俺は言い放った。

「金を積んで、あんたら警察官を買収したほうが、何倍も簡単で確かだ」と。

…おい…

俺を誰だと思ってる。
この世界じゃ俺を知らない奴はいない。

こんなことくらいで、新明亮二はボロを出さない。

俺はこの歳で、ムショにも入らずに幹部にまでのしあがった。

あんたらが想像もできないほどの修羅場を踏んでんだよ。

一筋縄じゃいかねぇよ。

それに、「約束」したんだ、あいつと。

俺はそれを守る。

だから、俺を落とすなんてあんたには無理なんだよ…
安住さん。