リサの俺への気持ちを利用し、
そして追い詰め、
こんな目に遭わせたのは、紛れもなくこの俺自身だ。
あいつが出てきたあかつきには、俺が一生面倒を見る。
あいつが望めばの話だが…
でも俺の命はいつどこで散ってしまうかわからない。
もしこの身に何かあった時は、
俺の持ちうる財産はすべてリサにくれてやる。
少しは生きていく上で役に立つだろう…
そしてもう一人の当事者、
「刑事の妻」の身にふりかかる、これからを思った。
胸が痛む。
なぁ、博子。
今、どうしてる?
おまえのことだから、きっとまた…
泣いてるんだろうな。
いいか、この前俺が言った通りにしろよ。
今回ばかりは
おまえの素直さも、実直さもいらない。
嘘をつき通せ。
おまえ自身のために。
そして、あの男のために…
加瀬達也のために。


