ぎょっとしてあたり に視線を走らせる。 くすくすくすくす。 声の源を探して、個 室をひとつひとつ確 認する。からっぽ。 昇降口に出てみる。 笑い声はやまない。 「誰もいない……」 背筋がつるような寒 気がして、耳をふさ ぐ。それをあざ笑う かのようにけたたま しい哄笑(こうしょう )が響きわたる。 なおは青ざめて、ぎ っちりと耳をふさい だ。それでも声は鳴 りやまない。 「なんで……」 壁に背をあずけ、ず るずるとしゃがみこ んだ。