お面をつけたような
不自然な笑顔の教師
の出現に、2人して
わっと声をあげた。
自分達が園芸部たる
ことを、しばらく忘
れていた。つまり、
ずっと水やりしてい
ない。
「俺のメシ、枯らす
んじゃねぇぞ?」
彼は凶悪な笑みを浮
かべ、2人と肩をく
む。
いつからあんたの
メシになったんだ。
胸の内で呟いて、
ジョウロを手にとり
、彼らは慌ただしく
部室を出る。笑いだ
しそうな日光を背負
ってなおが走ってく
る。よしおは大きく
手をふり、きみひろ
は柔らかく目を細め
た。もう、夏なんだ
なあ。彼はすがすが
しい気持ちで、レン
ズ越しに空を見あげ
た。



