その翌日。
ほんのりと肌寒い早
朝。なお達の住む町
から快速で3駅の、
ふるみ森林公園は、
景色をかすませる朝
霧に包まれていた。
ベルベッドのような
踏み心地の土に足跡
を押しながら、なお
ときみひろは縦にな
らんで歩いている。
密度の濃い空気を
吸いこんで、軽く頭
をふる。水を含んだ
ように、毛先が重た
い。
カサカサと音をたて
る木々に、枝先から
跳ねあがる小鳥。灰
色に近い乳白色の、
森。もやっとした陽
射しが、しっとりし
た空気に、幻めいて
ゆらゆらと浮かんで
いる。
「空気がおいしい」
前を行くきみひろが
森の果汁をすいこん
で、のーんびり言っ
た。



