深夜散歩は、この
ごろのブタ達の楽し
みである。
ふたりして、塀の
上を歩いたり、沈黙
している表札を読み
あげたり、ちかちか
ときれかかった街灯
を地図に記録したり
、ゴミ拾いをしたり
なぞをしたりした。
今日はブタの貼り紙
はがしである。『こ
の人物を見たら110
番』なんていう、特
徴や似顔絵の書かれ
た紙を電柱や壁から
とりのぞいていくの
だ。思いのほかたく
さんあって、ぶるっ
ているふとっちょの
背を、妖精はバンバ
ンたたいた。
「今はもう目撃され
てないんでしょ?」
「うん、たぶん。こ
の時間帯しか歩かな
いようにしてるか
ら。でも春先はとこ
ろかまわず歩いてた
からなあ……」



