俺、水田 毬也(みずた まりや)は、騎士の家系に産まれた。

 幼い時からこの命は皇帝の為にあるのだと教えられてきた俺にとって、南と言う存在は異常以外の何者でもなかった。

 「君が皇帝?面白い冗談だ」

 隣国の王はことごとく南の全てを馬鹿にした。

 存在を汚し、名誉を傷つけ、土足で心を踏み潰す。

 そんな奴にも、南は動じず、言葉など心に届かないとでも言うように笑った。