桜色の風が。 二人の髪をゆらす。 二人。 君がいる。 あたしが君の前にいる。 「篠宮空木」 ―…空木が、 空木がいるよ。 神様、空木に逢えた。 逢えたよ……。 あの日と同じように、はっきりと自分の名前を言った。 ―…あたしは"おはよ"って言えなかった。