綺麗な人だと思った
いや、もうしわだらけのおばあちゃんではあるが
なんというか、歳を重ねた美しさがあるというか
フェイトは壇上に立つ校長が綺麗だと素直に思った
しかし、脆弱にさえ見える外見なのにどことなく覇気のようなものを感じる
すると、後ろから密やかな声が聞えて来た
「なぁ、あのクラリス・アレイスターが人間だっていうのは有名だけどよ、新入生の中に人間がいるって噂本当かな?」
フェイトはピクリと反応した
あの老女は人間だったのか
「ああ、知ってる知ってる。百年ぶりに人間が入学するって、俺はまだ見てないけど」
「でも人間だろ?噂通り、凄い魔力なのかな」
「さぁ、どうだろうな。でも、今居る七人の賢者は校長先生を含めて殆ど人間なんだぜ、そいつも凄い魔力もってても不思議じゃないよな」
後ろの方から聞こえるので、どんな奴が言っているかフェイトには分からないが
好奇心いっぱいの顔でしゃべっているのはよくわかる
(なるほど、それで俺は注目の的だったわけね……)
なんだか脱力感が襲う
七人の賢者だか、なんだか知らないがそいつらはフェイトと同じ『人間』なのだ
呼び名から凄い人物だということがわかる
だから、そいつらに被せて俺が凄いだなんて噂が先行したに違いない
(正直、いい迷惑だ)
さっきの不躾な女のように勝手に期待されて、勝手に失望していくのだろう
そう考えるとため息しか出なかった
*******
「……最悪だ」
入学式はとりあえず終わった
しかし、大きな掲示板に貼られたクラス表を見てフェイトは苦々しく呟いた
掲示板と言っても、これまた不思議なもので水面に文字が浮かんでいる
壁に埋め込まれた枠、ガラスは張られていないのに水のような透明な液体が重力に逆らってそこにある
ハッキリと貼る、いや浮かんでいる文字
フェイトの名前は直ぐに見付かった
学園都市というだけあって一学年だけで数千人いる
メディアは6年制だ
生徒の数は万を越えている
更に、教師や商業施設の従業員などがいて、本当に一つの都市として機能している


