背中を押されて飛び込んだ海は冷たくはなかった
けれど、あるかなしかの悪寒が背筋を走る
しかし、すぐに消えてしまった
「やりやがったな!リーバ!」
「油断大敵だよー」
可笑しそうにリーバは笑い、ベスも吹き出すのを堪えていた
ジェイミーだけが心配そうに目を見開いていた
「でも、ジェイミーの魔法で冷たくはないでしょう?」
「うっせ!」
ゆらゆらと波に揺らされながら、落とした張本人のリーバが手を差し伸べて来た
渋々その手を取ろうとフェイトも手を伸ばした
しかし、その手は空をかく
「!?」
ズルズルと足を何かが這う感覚がした
くらりと意識が遠退いて行きそうになるのを何とか堪えた
すぐに水の中だと気が付く
胸くそ悪い何かが身体の中を渦巻いていることだけが鮮明にわかった
塩辛い水が口の中に侵入した
「フェイト!?」
「かっはっ!!」
引き上げられる
すぐに新鮮な空気が肺を満たす
「ごめん、フェイト泳げなかった?」
「だっ大丈夫?」
フェイトの胴体に腕を回しているのは心配そうに眉を下げたジェイミー
フェイトの二の腕を掴んで引き上げるのはリーバ
「フェイト、どうしたの?」
ベステモーナも心配そうにフェイトの手を掴んだ
茫然としたまま岸に上げられ、フェイトは曖昧に笑ってみせた
「あぁ、悪い……足つったかな?急に……な」
少し青ざめた顔をして笑っても逆効果だ
3人は心配そうにフェイトを伺う
「大丈夫だって」
もう一度笑って、自分で立って見せる
足に違和感があった気がしたが、そこを見ても何もなかった
「あー、びしょ濡れだし一旦帰るな。ベスはまだ遊んでろよ」
水気を払いながらフェイトが言うと、少々納得いかないというようにベスはうなずく
そのまま帰ろうとしたら、リーバはくっついて来た
「不可抗力とはいえ、ボクのせいだし、一緒に行ってあげる」
「不可抗力じゃなくて、元凶だろ!」


