その手で溶かして


ウミと女には視線を向けないように私は再び足を進める。



「真雪、待って。」



私を真雪と呼ぶのは遠藤君。



それなのに、今の声は……


反射的にびくついた体に、動かなくなってしまった足。



どうして?



どうして、そんな呼び方をするの?



「真雪はエンの彼女なんだ。予定がないなら2人で来てもらおうよ。そのほうがエンも来やすいだろ?」



「あったまいい!拓海。エン君どう?」



「真雪がいいなら……」



私のことは無視されたまま、進む会話。



ねぇ、ウミ。



どうして真雪と呼ぶの?