まだ肌寒い風が、頭に感じる温かい体温が、この瞬間の全てが心地よい。
小鳥のさえずりに閉じていた瞼をあげてみれば、あたしの大好きな金色が目に入った。
この金色が見られるのも今日までか…と思うと、自分のさせたことなのに少し寂しくなった。
「っつうか、入学式の日が誕生日って微妙…」
この声は、いつもあたしを安心させてくれるから好き。
「そ?いいじゃない。友達作るきっかけにもなるし」
「んー、まあ、そうか。」
「ん、そうだよ。」
こんな何気ない会話に、
まあ、いいか。たまには黒髪の唯人も
とか思ってみたりして。
あたしたちは高校生へと一歩ずつ近づいていた。

