朝は苦手だ。昔から。
天気の悪い日はまだしも、今日みたいな晴天の日は特に苦手。
起きることもそうだけど、この明るい日差しに照らされると、全てを見透かされている気がして焦るから。
こんな青空の下で、母は今頃、男と会っているのだろうか。
俺や、ずっと前に出て行った父の知らない男と。
だとしたら、今日も帰らないのだろうな。
頭の中をコロコロと変わる思考がめぐる。
やっぱり、学校なんて来なければ良かったかな。
少し伸びた前髪掻き上げながら、俺は満員電車へと乗り込んだ。
眠い目を擦りながら、空いている席を探してみるものの、そんなのあるはずがなくて。
立ったままカタン、コトンと小さく揺られるのは、悪い気分でもない。
窓の外には、大きな桜の木が咲いていた。
―――高校まであと少し。

