なんだか、自分の思っていることが、漫画やテレビでありがちなものすぎて笑える。
きっと、普通の高校を選んだのも
権力だとか、地位だとか。そういうの関係なしに付き合える、本当の友達を探すため。
いつもみたいに車に乗せられないで歩く街は、とても新鮮なものだった。
駅前にいるたくさんの『人』。
ひらひらと舞う、たくさんの『桜の花びら』。
行列を作りながら登校する『小学生』。
足元をセッセと歩いている『あり』。
そのどれもが、とても微笑ましく思える。
当たり前だけど、当たり前じゃない。
すごく素敵なことだと思った。
これを当たり前に感じられる日が、あたしにもいつか訪れるのだろうか?
そんなことは誰にもわからないけど。
ただ、この入学式がそれへと続く1歩になっていたら良いなと思う。
さっき違和感を感じた靴は、いつの間にかもうそれほど違和感のないものになっていて。
あたしは少し、深呼吸をして、
高校へと駆け出した。

