無口で不器用な年下くん。



「あれ、坂井君は?」


広い体育館を見渡すが、一際目立つ坂井君の姿はどこにもない。


「陸なら多分非常階段に居ますよ」


当たり前のように言う森下君に私はさっきまでの光景を思い出す。


体育館に入る前、坂井君、ここの構内地図見てた…。


自分の学校でもいつも非常階段に居るって森下君言ってたなぁ。


……非常階段フェチ?


「わかった!ちょっと行ってくる」


「迷わないように気をつけてくださいね~」


森下君に馬鹿にされながら私は体育館を出た。


流石に他の学校の選手はウォーミングアップを始めているのか、廊下には人気がない。