「あいつら遅いな。どこまで行ったんだよ」 「携帯はここに置きっぱなしだから繋がらないわね」 「だね…」 浩二と大輔がナンパに行ってから、 もう二時間が経過した。 それまで海を熱く照らしていた太陽も、 厚い雲に隠れて、 砂浜は普段の姿を取り戻しつつあった。 「もう六時ね。先に私たちだけでも戻ってよっか」 「そうだね」 僕らはシートとパラソルをたたんで、 駐車場へ戻った。 着替えを済ませ、防波堤の段差に腰掛ける。 僕らは、夕日に染まっていく海を眺めながら、 浩二たちの帰りを待った。 .