発車の合図が鳴る。



僕は少し駆け足で階段を降り、電車の一番端の席に座った。



他人と接触することをできるだけ避けるため、

この場所が僕の定位置だった。



電車は徐々に加速していく。


午後六時の黄色い光が、足元で揺れる。


都会から少し離れた場所。


窓越しに移り変わる、そんな小綺麗な景色を目で追っていた。



電車の中は本当に退屈だ。


誰かとお喋りでもしていれば早いものだが、

独りの時は、帰るまでの道のりが二倍にも三倍にも感じる。



とにかくこの暇な時間を潰すため、

僕は向いに座っている人を、右から順に年齢を予想するゲームをすることにした。



幼い頃、よく「人を外見で判断するな」と言われたが、

このゲームのヒントと言えば外見くらいで、それでどうにか判断するしかなかった。