「ねぇ、研史」
「ん?」
「研史のお店の女の子って、綺麗な人ばっか?」
「...ん~そりゃ、べっぴんさんばっかやね」
「そっか...」
「...なんで?」
「...綺麗な人に囲まれてて、その...いい感じになったりしないのかなぁって思って...」
「ハハっ...ないね。こういう店って風紀厳しいから。まぁ、女の子と黒服が隠れて付き合ったりとかはあるみたいだけど、俺は店の子には興味なしやし...」
「え?そうなんだ?...へぇ~」
「もしかして...サキ、ヤキモチ?」
「そりゃぁ...ちょっとは妬くよ?」
・・・ホントはちょっとどころじゃないんだけど。
「そうなんだ?おいで、サキ...」
・・・まただ。
研史はズルイ。
あたしが、研史に対しての気持ちを匂わせるといつも「おいで...」って呼ぶんだ。
優しい顔して、低い声で、人差し指をクイックイッとして、あたしを呼ぶんだ。
抱きしめられたら、あたしの好きが溢れちゃうの知ってて・・・
ギュってされると、あたしは研史にしがみついちゃう。
離したくないよ、離れたくないよ、離さないでよ・・・って。
「研史ぃ...好き...」
あたしは心に留めておく事が出来なくて、ついそう発してしまった。

