おなじ月...《短編》






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不思議な出会いをして、一ヶ月経たない位に。


気がついたらあたしは研史を好きになっていた。


あの適当だった毎日とは180度変わっていくのがわかる。


研史をもっと知りたい、研史に逢いたい、研史の中であたしをいっぱいにしたい。






研史は、ラウンジのフロアマネージャーをしていた。


ラウンジ?って夜の世界に疎いあたしは全くわからず。


研史曰く、「キャバクラの高級バージョン」らしい。



大阪出身の研史は、高校中退後に知り合いを尋ねてココに来た。


親は・・・居ない。お兄さんとお姉さんがひとりずついるけど、もう5年音信不通だとか。


今は、“ゴリ”っていうミニチュアダックスと二人暮らし。






“彼女”は・・・いない。





あの見た目でなんで彼女がいないのか、できないのか気になって聞いてみたけど、



「きっと、俺の性癖についてこれんのよ」と、冗談なのかマジ話なのかわからないことを言っている。



今まで付き合った女の子は沢山いるみたいなんだけど、全ての人に別れを告げられてるらしい。




「俺、恋愛に向かない男やし♪」





それが」研史の口癖だった。





そんな事を言われたら、あたしの気持ちどうなるの・・・