あたしは、放り投げられた物を見る。
放り投げられたのは、メントールのタバコの箱・・・
そのパッケージの外袋に紙が挟まっていた。
【フロアマネージャー 安藤 研史】
それは黒に白字で書かれたシンプルすぎる名刺。
何・・・コレ。夜のにおいがプンプンする。
裏を見ると白いペンで携帯番号と、メールアドレスが書かれていた。
・・・なに、アイツ。ただのナンパ?
あたしはその名刺をジッと見つめ、さっきのアイツを思い浮かべた。
アイツは・・・なんで月を見ていたんだろ。
なんであたしに声を掛けてきたんだろ。
あたしはその名刺をそのまま自分のポケットにしまった。

