「...で、どうにもならんの?」
研史はチラっと助手席に座ってスタンバイするあたしを見た。
・・・嫌な予感がする。
「...最悪、何時に店行けばいいの?」
・・・ほら・・・やっぱり。
「...ふぅーーーん。わかった...んじゃ、その時間で。とりあえず俺が行くまで佐々木になんとかしてもらって...ん。よろしく...」
「......」
電話を切った研史が、ゆっくりと運転席に座ってドアを閉める。
「...お察しの通り、店に顔ださなあかんくなった...」
「...うん。デート...出来ないって事ね?」
「...まぁ、トラブルが解決したら早くに帰ってこれるけど...なんとも言えん」
「...そっか。仕事だし、仕方ないよ。」
「ごめんな...せっかくの休みがダメになって」
「何時にお店行くの?それまでドライブしたい!!」
「...それなんやけど...もう一つ残念なお知らせがあります」
「...何??」
「タイヤが...イカれてまして...」
「......」
「...という訳で、自宅デートなんていかがでしょうか??」
・・・結局、いつもと同じじゃん。
・・・なんか。今までの彼女に振られてたっていうのが少しだけわかる気がする。
でも。あたしは研史と居れたらいいから・・・
少しでも研史と一緒に居れてたらいいから・・・

