「別れても、好きでいていいですか…?」


 last number.

 もう……だめかもしれない。

 こんなに会いたいなんて。

 何でこんなにつらいの?

 何でこんなに寂しいの?

 櫂の言葉が耳から離れない。

 好きな人を想い続けてはいけないの? どうしてあきらめなくちゃいけないの? それでも何もかも全部あきらめなくちゃならないのなら、わたしはもう恋なんて

「おい加菜子!」



 ノックもせずに部屋に入ると、加菜子は小さな両肩をビクッとふるわせて振り返った。後ろ手で慌てて日記帳をしまっている。加菜子の瞳は真っ赤になって少し腫れていた。

「なによ櫂! 部屋に入る時はノックしなさいってあれほど」

「いつまでそうやってネクラ日記付けて自己憐憫しているつもりだ」

「あ……あなたこれ読んだのね!?」

「ほら。ついでにこっちも読んどいたぞ」

 櫂は机の上に一通の手紙を叩きつける。加菜子は、その手紙に釘付けになった。

「これは……あの人の……」

 封筒から便箋を抜きだすと文面に目を走らせていく。

 その手紙には、あの男が加菜子をどれだけ大切に思っていたか、しかしそれでも別れなくてはならなかった理由が書かれている。その真偽まで櫂は知らないけれど、たぶん加菜子にとってはすべて真実になるはずだ。

 次第に加菜子の瞳から涙が流れ落ちていった。

「それで納得いったか?」

 加菜子は涙をぬぐいながら小さくうなずいた。

「失恋は、失わなければ意味がないんだよ」

 いくら拭っても涙は止まりそうになかった。それでも加菜子は小さな声で「ありがとう」といった。