それがまるで、彼女には一生追いつくことができない──追いついてはいけないという暗示のように感じられた。
ふたりはしばらく無言のまま歩いていたが、ちょっと気まずくなった雰囲気を無理やり壊すかのように、加菜子がいった。
「あれよね、もしかしてわたしたちって、こうすると恋人どーしに見えるのかな?」
そして加菜子は、腕をギュッと絡めてくる。
逆効果だろ…と、櫂は心中で文句をいった。この雰囲気にその台詞は、完全に的を外している。
「どう見えたって、あんまり変わらないだろ、お前の場合」
「ちょっと何? それってどういう意味よ~!?」
別に意味なんてない。たぶん間近の加菜子から漂うその香りに、酔ってる。
でも加菜子は「恋人同士になんて見えない」という意味だと思ってくれたようだ。
「失礼しちゃうよね、ほんとに櫂は。いっときますけどね、わたしは櫂が思ってるよりずっとず~っとモテるんだから」
知ってるよ、そんなことは。
「でもまぁほらアレよ、みんなわたしの魅力に恐れをなして結局いいお友達でいましょうってことになっちゃうんだよね~」
お前が臆病なだけだろ?
「まぁ今のところ特に男の子には興味もないし、櫂も安心していいよ!」
なんだそりゃ
「それにしても櫂、あなたはいったいなんで彼女作らないのよ。お姉さんはそっちの方が心配よ」
櫂はちらりと加菜子を見た。加菜子は少し、頬を膨らませている。
「もぅ。何さっきから黙ってるの?」
お前がいるから作れないんだ、なんていえるわけないだろ
櫂は口を開いた。
「とりあえず──」
