「別れても、好きでいていいですか…?」


「だって。櫂がきてもいいっていったんじゃない」

「きてもいいとはいったが毎日とはいってない!」

「そんなこといったって。こっちまでの定期も買っちゃったし。ほら」

 加菜子はポケットから定期券を取りだす。それを会社の経費で落とさせたのかは、櫂はアホらしくて聞く気にもならなかった。

「あのな。これじゃあオレが一人暮らしを始めた意味がまるでないと思わないか?」

「んー。そういえば確かに。会社からは遠くなるし家は狭くなるし。引っ越しの手間はかかったし家賃もかかるし。意味ないじゃない」

「意味を消失させてくれているのはおまえだろーが!」

 やはりというべきか──加菜子は首を傾げている。櫂は盛大にため息をついた。

「そもそもなんで、櫂は一人暮らしをしたいと思ったわけ?」

「……だから、単に一人で暮らしてみたいと思ったからだよ! 独立心旺盛とかいうヤツだ!」

「ふーん。でも別に、自宅でもお父さんもお母さんもいなかったわけだし、一人暮らしも同然だったんじゃない?」

「だからって一人じゃなかったろうが」

「まぁわたしがいたからね。……つまり、わたしが邪魔だったってこと?」

 そういうと加菜子は急にしゅんとし始める。

「別にそこまではいってないだろ」