「別れても、好きでいていいですか…?」


「あっ! うそうそ! 別にからかってるわけじゃないんだってば!」

 櫂が席を立つと加菜子は慌てて引き留めた。

「わたしだんぜん応援しちゃうよ!? 今度、そのコをデートに誘ってみなよ! なんならわたしも一緒にいこーか?」

「……姉と一緒にデートするなんて話、聞いたことがない」

「あっそうか。うーん……それじゃどうやって応援しよう。あ……でもでも! 櫂がもしも何か困ったことあったら わたし全力で力になるから──」

 櫂は振り返った。顔の筋肉に全く力が入らない。普段に増して無表情なのだろうとわかった。感情が湧いてこない。

「応援、してくれるのか?」

「うん! 当たり前じゃない。可愛い弟のためだもの」

「それが、おまえの答えなんだな」

「……え?」

「なんでもない」

 ある意味、それはわかり切った答えだった。

 ただ単に決心を付けたくて加菜子にいわせただけだったのかもしれない。



 次の日、櫂は不動産巡りを始めた。

 以前から考えていたことではあった。

 家を出て一人で暮らそう──と。