「いい色に染まったじゃねえか。そそるぜぇ、魅力的だぜぇ、余計食欲がわくってな、ヒィハハ!」
魔物がチルチの額に爪を食い込ませようとし。
「あ?」
足元に痛みを感じた。
些細だが、明らかな痛み。魔物が自分の足元を見れば、小さな物体が、かじりついていた。
「んだぁ?このちんまいの」
かじられている足を軽くあげ、もう片手でそれを持つ。
「フー、ヴー」
チルチが聞いたこともない声で牙をむき出しにしたのはミュミュだった。
「ああん?なんで、魔物が俺様に牙を剥くワケ?」
「ミュミュ、ミュミュ!」
掴まれたミュミュにチルチは手を伸ばそうとして――離された。


