街の住人の願いでもある。


「うん!チルチ、いっぱい手紙書くの!」


バレない嘘は、チルチにとって真実だ。


何の疑いもなく、今日書いた手紙も両親に届くと鼻歌交じりで家路につく。


「……、かわいそうに」


誰にも聞こえぬ声で局員は言い、預かった手紙を眺める。


拙い字が、とてもキラキラして見えた。


きっと書いた本人が、手紙を受け取った人を想像しながら、溢れんばかりの喜びを交じえたからに違いない。


――これでいいのか?


「これで、いいんだ」


あの笑顔を見たならば、そう言うしかなかった。