石造りの道を歩き、すれ違う人に挨拶をするチルチ。挨拶をすれば皆が返してくれた。


可愛らしい良い子。チルチは街によく馴染み、誰からも愛されていた。


「ポストさん、こんにちは!」


「こんにちは、チルチちゃん」


ポストさんと言われたのは郵便局員だった。チルチにしては、毎日ポストの手紙を回収することから、ポストさんと覚えているらしい。


「今日も手紙書いたの!」


「そっかぁ、偉いねぇ」


朗らかな笑顔を浮かべて局員は封筒を受け取った。


『お父さんお母さんへ

チルチより』


“それだけ”が書かれた封筒を。