実感がわかなかったと言うべきか。魔物は悪と言われても、実際に害を与えられたことがないチルチにとっては怪我したミュミュが、そこら辺にいる犬猫と同じに見えたのだ。 だから助けたのに迷いはなかった。 ミュミュとて助けられたことからか、人間であるチルチを襲ったりしない。 両者共に“幼い”というわけも背景にあるだろうが。 「後は、お兄ちゃんたちの分だよー」 「ミュッ」 ミュミュに言い聞かせて、余ったパンを袋に戻していく。