あるがままを伝えるのみだった。


「許し――それが何の意味を持とうか。某がやってきた事実は変わらぬし、憎き人間からわざわざ許しを求めるなどしない」


「憎き人間、だと……」


短剣を握る力が緩んだ。


「憎いならば何故殺さない」


純粋な疑問が口から零れた。


「憎いからと殺してばかりでは、某は憎いそなたたち人間と同類――いや、駒に成り果てる」


「ざけんな!魔物なんかと一緒にするんじゃ――」


「何が違うというのだ」


魔物が手を前に出し、指を動かす。


「形か?だが、人間型の魔物などいるし、擬態する魔物もいる」


「お前らみたいな残虐な奴らと一緒にするな!」