それが彼、シルクの任務であった。


敵の中枢――魔物の根城に潜入し、内部情報を流す。


上位の魔物は知能が高いが、下位の魔物は犬に毛が生えたほどの知能。獣の皮を被り、目立った行動をしなければバレるということはなかった。


幸いにも、上位の魔物は出撃しているために会うことはなかったが、忘れてはならないのだ。


「早々に立ち去れ、人間よ」


ここは魔物の巣窟だと言うのを。


いきなりかけられた声に、心臓ごと跳ねた気分になったシルク。