二度、男はユーズの体に手を入れて、心臓をつついた。
「紛れもない心からでしょ。憎しみでも怒りでもいい、殺したい殺したいってなんのは、欲望の通りに動いて“気持ち良くなりたい”からだろぉ?
ヒィハハ。笑けるよなぁ。結局のところ、お前だって、楽しんで人間殺してんじゃん!スカッとするだろおぉぉ!ムカつく人間共を根絶やしするのわよおぉぉ!」
「っ、がっ」
嗚咽のせいで否定しないのではなかった。
――身に覚えがあったのだ。
憎しみと怒りに任せて暴走はしないが、人間への殺意は変わらない。
身内をやられ、部下をやられ、同族をやられ、いくら制裁しても失せない怒りが湧いていた。


