愛し合い、誰が見ても幸せそうで、大きな祝福すらもされる仲だった。


そう、“だった”のだ。


目の前で魔物に殺された。さも、人間を殺したいと言わんばかりに骸骨を身にまとった魔物に殺され、同時に己もなぶられたのだ。


「くそくそくそおぉぉぉっ」


金切り声をあげ、頭をかきむしりながら、辺りを燃やし続ける。


いっそ死にたかった。だが、彼を殺し、自分を玩具にした魔物が許せなかった。


何とか助けられた彼女は一年も泣き続け、同時に力を得た。


それは憎しみが幸い――いや、災いしたのかは知らないが、彼女は確かに、殺せる力を得たのだ。