森を魔物ごと焼き、生き残った魔物にとどめをさしていく。


もう半分近くは焼き払っただろうか。


このまま森にいれば、自分自身も危うい、火に巻き込まれるだろうが――彼女は尚も進んで、火を放ち続けた。


「気持ち悪い、きもちわるー。なんでこんなに魔物がいるのさ」


言うほど多かった。姿が虫に近いためか、繁殖力があるらしく、森は最早虫の卵と幼虫だらけだった。


鳥肌が立つ。同様に憎しみも湧く。


「魔物なんか生きる価値ないってのに、あんたらのせいで、あんたらが――っ」


杖を振り回す。火があちこちに引火した。


――横やりだが、語ろう。彼女には愛する男がいた。