デスペリア



「それからね、それからね、それから、それ……」


完全に狂った。


涙しているのに笑って、夫は手の中でごろごろしているものを見た。


一つは指輪。
一つは銃弾。


「男の子、か……な……、女の子か、な……」


銃に弾を込めた。


「名前、は、どうしよ、う……」



こめかみに当てる。


「名前、こうほ、いくつ、か……」


照準に狂いはない、狂った頭を撃ち抜こうと。


「だから、僕も、そっちに……」


現実は見えない。なのに、指先だけが動く。


「三人で、一緒に――」


引き金が抱かれて。