(一)


謁見した王はひどくやつれていた。


先日、王妃を殺されたからであろう。


怒りよりも悲しみが先に出たか、憔悴しきって、見るのも痛々しい。


「奴らは現在、南タイガン平原を抜け、進行中。三日後にはこの城にたどり着くことでしょう」


「……、そうか」


私の報告に、建前上、返事をした王であったが、言葉は右から左であろう。


私に愛する者はいない。だから王の苦しみを理解などできないが、見目の苦しさはよく伝わってきた。


「進軍が早いのも、偵察部隊の話では腕利きの炎使いがあちら側にいるらしく、南タイガン平原に迎撃に向かった第一部隊は全滅しました」


「……」