俺の横まで来た空だが、途中から目は閉じたままだった。

それでも、ここまで良く来れたものだ・・・


「空、目を開けな。

壁を壊したお前へのご褒美だ」


ゆっくりと空が目を開けるのと同時に、空の正面から少しだけ体をずらして向こう側にあるものを見せる。


「・・・

綺麗」


そこには街の明かりが視界一杯に散りばめられていて、最高の夜景が広げられていた。



高い位置にある市であり、小高い丘の上にあるマンションの十三階からは、すぐ下の外灯から府中やその先の街の明かりが綺麗に映し出せれている。

夜景の先を見ると丸みが見え、地球が丸いということまでも分からせてくれる・・・

まさに最高の夜景だ。


「誰にも言っていない俺だけの秘密の場所だぞ。

一葉や妃來にも言ってないんだから」


感激のあまりか、空の目には涙がうっすらと姿を現し、その涙が夜景を映し出して美しく見えた。


「だから言っただろ」


笑顔でそう言うと、目に溜まった涙を拭いながら空は笑顔でこちらを見てきた。



何も口にはせず、空は俺の隣で夜景を眺めていた。

お互いに口は開かずとも、この夜景を前にずっとこうしていたい。

どれくらいとか、そんなことはどうでもいい。



ずっと・・・



ずっと、こうしていたい。



そう、思った・・・