「当たり前だろ」


こちらも空から目を逸らさずに答える。

空が俺にこんなに向かってきてくれているなら、俺もしっかりと空と向かい合わなければいけない。


「自分の都合のいいように事が進むことなんて、ほんの僅かしかねえんだ。

もし、そのときに都合の悪いことしか考えていなかったら、その僅かを逃しちまうかもしれないだろ」


この言葉にはしっかりとした補足がある。

矛盾しているかもしれないが、都合の悪いことを想定してそのときにどうするかを考えたうえで自分の都合のいいように考えるのだ。



この言葉を聞いて、ほんの少し空の表情が和らいだ気がした。

その表情を見て、俺も安心からか表情が和らいだと思う。


「でも・・・」


「自分が作った壁は自分で壊して前に進むしかないんだ。

誰かに壊してもらおうと思ったり、避けて通ろうとしても壁は無くならないんだよ」


空に言っている言葉なのだが、自分が言われているように胸が痛くなった。

もしかしたら、これは空にではなく俺自身に言っている言葉なのだろうか。

俺はまだ壁を壊そうとせずに避けて通り続けている・・・



でもな、空。



この言葉は本当だぜ。

本当に自分で作った壁は、自分で壊さなきゃ駄目なんだ。

俺もいつか絶対に壁に立ち向かって壊すからな。